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​​​​​​​​​​​​池袋キャンパスにおいて、春季人権週間プログラム講演会『SNS拡散力の光と影-ネットワーク社会における世論、書き込み、炎上-』を開催しました。本学社会学部教授の木村忠正氏と立教池袋中学校・高等学校教務部長の内田芳宏氏に、SNSの拡散力について「研究成果」と「経験値」という異なる観点からお話いただき、SNSのもつ社会的な影響力について考える貴重な機会となりました。

日時 2017年7月7日(金) 18:30-20:30
会場 立教大学 池袋キャンパス 8号館 2階8201教室
講師

木村 忠正 氏
(本学社会学部教授)

​ ​

内田 芳宏 氏

(立教池袋中高教務部長、本学学校・社会教育講座講師)

参加者 本学学生、教職員、一般
合計63名

容​

今や私たちの生活にすっかり浸透した、LINEやTwitterといったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)。新たな友人関係を広げたり、仲間同士で気軽に連絡を取り合ったりと便利に利用できる反面、投稿した内容が思わぬ誤解やトラブルを生んだり、炎上してしまうケースが増えている。

日本でもこの10年ほどの間に急速に発達したSNSについて、まず最初に、ネットワーク社会論の専門家である本学社会学部教授の木村氏が、日本社会におけるソーシャルメディアの普及と拡散・炎上の構造について説明した。従来の世論形成では、発信者であるマスメディアが流したニュースに対し、受信者である私たちの多くは受け身の立場であったが、インターネット空間では、受信者が同時に発信者となり、SNSなどのソーシャルメディアに多様なコメントを投稿することが可能になった。特に、匿名の陰に隠れている意識から、無責任で不適切な発言が繰り返され、炎上が生じやすくなっている。長年、ネット世論について多様な調査研究に取り組んでこられた木村氏によると、SNSに流れる大量のコメントに目を通すことを介して強く感じるのは、炎上という現象はごく一部の人が加担し過激な批判を繰り返し発信しているに過ぎず、実際には投稿者の9割以上は比較的平穏なコメントをしているのだが、ごく一部の「尖った」投稿者たちのコメントが何度も繰り返されることで優勢に感じられ、それがあたかも世間一般の見解のようにとらえられがちだということである。確かにネット世論とは社会一般の世論とはかけ離れ、偏ったものであるという見解はあるが、研究を進めていくと単純にそういうことではないということもわかってきた。ネット世論とはあくまで一つ一つのコメントの集積であり、それらについて様々な感情を持った受信者が自分の言葉でリツィートをするといった、<言説-感情-行動>の複合体としてとらえるべきである。一部では過激で暴力的な表現が繰り返されるという現実を受け止めつつ、社会全体の変化に敏感になり、自分がどうふるまうべきかをきちんと見極める力が今、求められている。

続いて、立教池袋中高教務部長の内田氏が、中高生と接する現場から見えてくるリアルな声を伝えた。中高生の代表的なトラブルには、①SNSの誤使用 ②誤解した知識 ③わかっているけれどやってしまった という大きく3つのパターンがある。①の誤使用については、仲間内だけに送ったつもりが外部に漏れていたという人為的ミスが代表的な例である。また、特定ユーザー同士の閉じられた世界では、ある人を仲間はずれにするという確信的な利用もあり、取り返しのつかない事態に発展するケースもあって深刻である。②については、匿名性のもとでは個人は特定できないはずだという過信が挙げられる。学生が普段よく使うLINEも匿名で登録できるが、投稿内容や位置情報、複数のSNSのプロフィール情報などから名前や住所が特定される可能性は十分あるのに、匿名だから大丈夫と思いこんでいる学生が多い。③については、例えば動画を投稿した時、再生回数を増やして注目されたいためにもっと過激に、もっとすごいことをしなくてはとどんどんエスカレートしてしまい、やがて引き際がわからなくなる。

​​​リスクを考えて中高生にLINE禁止と言うことは簡単だが、これだけSNSが身近にある今の世の中で禁止することは現実的ではない。それよりも学校側の対策で重要なのは、正しい使い方を啓発すると同時に、もっとうまく活用できるようSNSとの共存を訴えかけていくことである。それにはまず、学生にきちんとした日本語表現能力を身に付けさせることが先決である。トラブルに巻き込まれないためには、送信する前に文章を見直すこと、自分がこれを発信したら相手はどう思うだろうかと想像力を働かせること、そして言葉の重みをきちんと理解することである。情報の拡散力の速さは昔とは比べ物にならないが、大切なのは、基本に立ち返って日本語を大切にすることである。​

参加者の声 ・「ネット上での書き込みについて、なぜこのような反抗的な言葉が出るのか疑問に思っていたが、今回の講演でその動向を知ることができて良かったです。また、中高での実例なども多く、教員をめざす私にとってとても勉強になりました。」 ・「炎上の研究結果がおもしろかったです。また、道徳心をいかに育むかを考えさせられました。今後どんな情報発信ツールが出来ても、日本語を大切にしたいと思います。」 ・「サイバー社会のこと、学校を中心としたリスクマネジメントのことが良くわかりました。非常に興味深かったです。」 ・「炎上は一部の人の中で起こっていることというのが印象的で、うまく付合うことでトラブルは防げることもあると少し安心しました。また、“日本語を大切にすること”というフレーズがとても心に残りました。」

木村忠正

内田芳宏氏

質疑応答の様子

講演に真剣に耳を傾ける参加者たち
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