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​​池袋キャンパスにおいて、秋季人権週間プログラム講演会『池袋の多文化共生を考える-魅力ある街づくりを共に実践する取り組み-』を開催しました。池袋西口の活性化のために共に活動する3名の講師が、池袋の多文化共生の実情と展望をお話ししました。講演後には、参加者たちと活発な意見交換が行われ、新たな課題も見つかりました。

​日時

2017年11月15日(水) 18:30-20:30

​会場

立教大学 池袋キャンパス 8号館3階 8304教室

登壇者​

小林 俊史 氏
(NPO法人ゼファー池袋まちづくり理事長、「とっぴぃ・豊島の選択」編集長)
石森 宏 氏
(NPO法人ゼファー池袋まちづくり常任相談役、アイポイント活動リーダー)
上西 恵美 氏
(有志者スポーツクラブ代表)

参加者

本学学生、教職員、一般
合計39名

講演内容

 最初に小林氏が、池袋における日本人と中国人の交流の歴史と、お互いの関係の変遷について講演した。小林氏が理事長を務める「NPO法人ゼファー池袋まちづくり」は、住民や事業者が主体となり、豊島区と協働しながら池袋西口をより魅力ある街にしようと活動している団体である。豊島区は外国人住人の割合が高く、中でも中国人の割合が23区の中で最も高いので、その地域特性を活かした国際交流イベントにも力を注いでいる。池袋の歴史を紐解けば、戦後多くの台湾人が事業を興し、日本人と友好な関係のなかで商売をしてきた。1980年代後半、中国本土からの留学生が急増し、池袋に大きな中国人コミュニティーが生まれ、中国人同胞を対象とした店やビジネスが急増した。しかし、日本の慣習やマナーを知らない中国人経営の店のゴミ出しなどをめぐり、日本人商店街の不満は高まっていった。そのような中、2007年に中国料理店や雑貨店の店主たちが、自分たちの店に日本人客にも来てもらいたい、それが街の発展への貢献になるのではと考え、池袋を新しい中華街として発信する「東京中華街構想」を提案した。しかしこの構想が地元商店街に伝えられる前に、マスコミで「池袋に新中華街!」と取り上げられてしまったため、それまで中国人店主たちへの不満が鬱積していた日本の商店主たちが「そんな話は聞いていない!」と激怒してしまった。それを知った中国人店主たちはこの計画を取り下げ、まずは、お互いの交流から始めようということになった。中国人と日本人、双方の間に立って調整したのが、小林氏と、元留学生で池袋の中国人ビジネスマンたちを取りまとめている胡逸飛氏である。その後もさまざまな葛藤を経て、現在は、よりよい街づくりのためにコミュニケーションを大切にしながら、お互いの信頼関係を構築する努力を重ねている。
 池袋の多文化共生を語るうえで忘れてはならないのが、明治・大正期に東アジアの国境を越えて活躍した一人の革命家の存在と芸術活動である。その革命家の名は、宮崎滔天。池袋で、亡命してきた孫文らを支援し革命活動を支え、大陸浪人としてアジア独立の夢に向かって活躍した。また、大正の終わり頃から第二次世界大戦の終戦期にかけて、西池袋や椎名町にいくつもアトリエ村ができ、画家や詩人などの芸術家コミュニティー「池袋モンパルナス」として栄えたが、その中には中国出身の芸術家もいた。激動の時代を生きた彼らの、国を超えた嘘偽りのない友情は、我々が目指す魅力ある街づくりの原点といえるものである。今後のNPO活動において、熱情に満ちた彼らを念頭に置き、お互い切磋琢磨しながら街を良くし、人生を切り拓いていく土壌を根付かせていきたい。さらに今年、豊島区が2019年東アジア文化都市の国内候補都市に決定したことも、池袋の多文化共生を世界に発信する絶好の機会となるにちがいない。
 ​次に石森氏が、自身がリーダーを務めるアイポイント活動を紹介した。アイポイント活動とは、NPO法人ゼファー池袋まちづくりの重点事業のひとつで、池袋駅西口駅前に設置された植物アート「えんちゃん」の手入れなどの緑化活動や清掃活動のボランティアに、活動報酬として地域通貨「アイポイント」を渡し、埼玉県東松山市にある大久保農園で収穫時期にとれたジャガイモやダイコンと交換できるシステムである。「アイポイント」のアイ(I)はIkebukuroのI、自主性を示す「私」=I、そして地域と人びとへの「愛」=Iからきている。地域通貨「アイポイント」は魅力ある街づくりに貢献した活動の証である。このボランティア活動に、多くの中国人が参加しており、また、立教大学の学生も参加している。
 地域活動において大切なこと、それは「継続」である。地域通貨が成功している自治体が少ない中、アイポイント活動は着実にサポーターを増やし、人と人、人と地域のつながりを強めている。また、石森氏は、植物が人と人をつなぐ触媒になると強調した。面と向かって話すのではうまくいかないことも、植木の手入れや農作業など、植物を間に挟めばリラックスした交流が可能になる。これからも体を動かし、植物に手を入れながら、共に心豊かになれるフィールドを作り続けていきたい。
 最後に、有志者スポーツクラブ代表の上西氏が、スポーツを通じた日本人と中国人との交流活動について講演した。日本人として鹿児島で生まれた上西氏は、親の仕事に伴い幼少期から中国で育った。中国人の夫と共に帰国し、池袋に住んで20年。日本人と中国人が共に働く会社を経営している。得意のスポーツで日本人と中国人の交流の場を作りたいと考えた。ボウリングや卓球など、それぞれが得意なものをお互いに教え合ううちに、やがて日中混合のチームができ、大会に出場するまでになった。今も毎週、練習に余念がない。
 彼女は、このような活動で知りあった中国人たちが、日々の生活上の悩みを多く抱えていることに気付いた。子どもが日本の学校になじめない、国際結婚家庭のストレスなど、さまざまな相談に乗るうち、スポーツには苦しみを癒していく力もあることに気づく。池袋に暮らす中国人の生活が安定し、精神的ゆとりが生まれれば、治安も良くなり、魅力ある街へとつながっていく。自分一人の力でできることは小さいかもしれないが、スポーツを通して池袋のために貢献し、困っている中国人を助け、日中友好の懸け橋としてこれからもずっと頑張っていきたい。心の中にはいつも、熊本の震災直後に、一緒に被災地へ支援に行った大勢の中国人たちの熱い想いがある。

参加者の声

・『池袋と外国人のこれまでの関係そしてこれからの展望など、普段池袋駅を利用して池袋キャンパスへ通っているだけではわからなかった実情を知ることができて、とてもためになりました。参加して良かったです。』
・『JR池袋駅前の花壇のひまわりがアイポイント活動によるものだったと初めて知りました。夏の頃に駅前を通った際、綺麗だなと思ったことを覚えています。有難う御座います。また、特にスポーツを通じて日中間の交流を深めているという話が印象的でした。』
・『普段住んでいてもなかなか得られない、学べない池袋と中国(アジア)の結びつき、歴史、変遷を知ることができ、もっと深く勉強したいと思いました。』
・『池袋は中国人の方々が「素のまま」で生活し仕事をしているのが大きな特色だと知ることができました。駅前の美化運動、畑仕事、スポーツ…と身体を動かすことが異文化間で人々をつなげる効果があるようです。2019年の東アジア文化都市の発足に向け、重要な情報を得ることができました。』

小林 俊史 氏

石森 宏 氏

上西 恵美 氏

講演に真剣に耳を傾ける参加者たち

質疑応答の様子

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