2022年6月16日(木)SPIRITのInternet Explorerサポート終了について
2022年6月16日にMicrosoft社によるInternet Explorerのサポートが終了しました。 それに伴い、SPIRITにおけるInternet Explorerのサポートも終了します。 これまでInternet Explorerを用いてSPIRITを閲覧されていた方は、Google Chrome、Microsoft Edge、Firefox等他のブラウザをご利用ください。
「立教大学ヒューマン・ディグニティ宣言」コラボレーション企画 秋季人権週間プログラム講演会『偏見や差別はなぜ起こる』をYouTube Liveにて開催しました。講師に東洋大学社会学部教授の北村 英哉(きたむら・ひでや)氏をお招きし、現代社会の中の集団や社会的カテゴリーにおいて生じている題材を取り上げながら、偏見や差別が「なぜ」「どのようにして」生まれるのか、その心理メカニズムを社会心理学の知見をもとに解き明かしていただきました。
2021年度人権・ハラスメント対策センター主催秋季公開講演会は、「立教大学ヒューマン・ディグニティ宣言」とのコラボレーション企画として、東洋大学の北村英哉先生をお招きし、ご講演いただきました。YouTube Liveで行われた講演会には学内のみならず全国各地から400名以上の登録申込みがあり、関心の高さがうかがわれました。
ご講演では、無自覚・無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)について、これがどんなものであるか、いかにこれを自覚して偏見や差別のない社会を作り上げるかをテーマに、北村先生のご専門である社会心理学の知見をお話しいただきました。特に印象深かったのは差別の有り様に関する概念のご説明です。攻撃的な差別行為が批判の対象になることは誰しも分かることですが、「温情的差別」と呼ばれる、一見ポジティブな言説の中でネガティブな内容が抱き合わされる差別が現代の課題であることに気づかされました。例えば「女性は気が利いて、細かいことまで気づき、人に優しい」のような言説は、一見、女性全般をポジティブに評価しているかのようですが、本来は個体差であるはずの性格の違いを性差のステレオタイプに当てはめ、だから女性は家庭内労働に向いており、労働環境の中で重要なポジションに就かなくてもいいのだ、という結論を導きかねないものです。実際、心理学の実験ではこの言説を聞かされた女性労働者のパフォーマンスが低下したと言います。
温情的差別はどこにでも潜んでいます。先生は、威圧的な上下関係を有する同質的な集団では特にそれを見つけにくく、一部の構成員のみが生きやすい社会になりかねないと警鐘をならしておられます。その存在に気づくには、多様な意見が反映される組織作りが必要であり、それ故に多様性が尊重されるべきことを指摘されて、ご講演は終了しました。
参加者からも多くのコメントが寄せられました。差別的言動を指摘しづらい現実に悩むコメントに対し、個々人に対して丁寧に対話し向き合うことの積み重ねが大事である旨のお答えをいただきました。最後に「社会は意外と変えられる、タバコに対する対応がこの30年で変化したように」とのメッセージは、実に勇気づけられるものであったかと思います。多くの気づきを得る機会となった今回のご講演をお引き受け下さった北村先生に、改めて厚く御礼を申し上げます。
(法学部 髙橋 美加 教授)