2021年4月27日
立教大学総長 西原廉太
立教大学学生のみなさんへ
この4月、2021年度新学期を迎えて、それぞれにキャンパスでの豊かな学生生活を始められたことと思います。立教大学では、教室・キャンパスでの感染防止のために可能な限りの対策を行い、万全を期してキャンパスでの対面授業や正課外諸活動を再開しました。池袋キャンパス・新座キャンパスには学生のみなさんの笑顔が行き交い、私たち教職員も胸躍る思いでした。
しかしながら、首都圏における新型コロナウイルス感染症の感染者数が急増し、4月12日から東京都に、続く4月20日から埼玉県に「まん延防止等重点措置」が適用されました。また、現在の「第4波」とも言われる感染拡大は、変異株N501Yの流行が見られていること、若年層の感染割合が高いこと等が特徴として報道されています。さらに、4月23日には、政府から東京都に対する「緊急事態宣言」の発令が決定され、人流の抑制に対する協力要請が本学に対してもなされる事態となりました。
せっかく大学キャンパスでの学生生活が始まったところですが、本学としても、緊急事態宣言の発令を受けて、人の動きの抑制に協力すること、そして、何よりも、学生のみなさん、教職員のみなさんの<いのちと健康>を守り、かつ、このような緊急事態下にあっても決して学びを止めないために、授業実施内容を一時変更することといたしました。
具体的には、本学の「新型コロナウイルス感染症拡大防止のための活動制限指針(正課)」の制限レベルを「レベル1」(感染が一定程度にとどまっている状態)から「レベル3」(緊急事態宣言等が発出されているが、大学への入構禁止要請は出ていない状態)に引き上げ、原則として全授業をオンラインで実施します(一部、必要性が認められる授業については、感染対策に十分配慮した上でオンライン同時配信を活用しながら対面授業を維持します)。
もちろん、私たち教職員も対面授業の意味や重要性を強く認識しており、何とか継続したいと願っていましたが、残念ながら一時的にこのような判断をせざるを得ないことをご理解いただければと思います。当面、春学期S1期間末である6月1日(火)までの一時的な措置とし、さまざまな条件を総合的に判断した上で、可能であれば、すみやかに対面授業の再開を目指しますので、引き続き大学からの連絡をチェックしつつ、ご自身の履修科目についてのご確認をお願いします。
昨年度の経験から、私たちはオンラインを活用した学びや学生諸活動のアドバンテージ、可能性にも気づかされました。みなさんもぜひ、積極的に取り組み、オンラインならではの学びに挑戦してください。
あわせて立教大学学生のみなさんにはお願いがあります。みなさんには徹底した感染予防のみならず、「いのちと学びの場を守る」ための行動をとっていただきたい、ということです。まずは、みなさんお一人おひとりの健康管理、自己管理が重要です。キャンパス内はもちろんですが、キャンパスの外で飲食をする際などにおける飛沫感染には十分気をつけてください。特に、ゼミやサークル活動等での飲食を伴う懇親会やコンパ等は絶対に行わないでください。みなさんのみならず、大切なご家族や友人の<いのちと健康>を守るためにも、日常生活を含めた適切な感染予防対策を遵守してください。
なお、今回の授業実施方針の一時変更期間の間も、池袋キャンパス・新座キャンパスには入構が可能です。図書館や一部教室等の諸施設も、それぞれの条件に応じて利用できます。また、学生生活を過ごす上での不安や確認したいことなどがある場合には、遠慮することなく各窓口に相談してください。私たち教職員は、全力でみなさんの学びと生活を支援いたします。共に知恵と力を合わせて、この困難な時を乗り越えて行きましょう。
私たちが向かい合う課題とは、この新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックという歴史的事態に直面しながら学ぶ、私たちの責任を確認することでもあります。私たちが大切にする「リベラルアーツ」の本来的意味は、以下の内容に集約することができます。それは、①人間が生きていく上で本当に必要な「知」、②他者の痛みに共感し、共苦できる「感性」、③世界史的、人類史的な「世界観」と歴史認識、④多文化世界に生きることのできる「国際性」です。
現在、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐために、未だほとんどすべての国境を越える往来は不自由なままです。しかし、だからこそ、みなさんは、今、大きな困難の中にある世界を顧みてください。この先にある未来に思いを馳せてください。病に苦しむ人に必要な医療が施されることを。感染の終息に向けて取り組むすべての人、医療従事者、病者に寄り添う人の健康が守られることを。亡くなった方々と、残された家族に慰めがあることを。不安と混乱に直面しているすべての人に、支援の手が差し伸べられることを。
これらのことを心から願い、かつ担うことのできる、「本物のリベラルアーツ」の学びを、ご一緒に続けてまいりましょう。