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全学共通カリキュラム法と政治の世界担当:笠井 昭文 兼任講師
この授業では映像資料を人間や社会の問題について考える材料として使用し、できるだけ平易に政治学の概念や思想、特定の問題を論じようとするものである。 学生への成績評価としては、定期試験の他に平常点として小レポートの提出課題を行った。具体的には、各回で提示するテーマの中から選択して合計4回以上小レポートを提出してもらうという方法である。そして今回の特徴として、提出されたレポートは、授業にご協力頂いた教育コーチ(1名)が添削し、教育コーチからの評価を加えて学生へのフィードバックを行った。以下、授業を振り返り、その教育効果と問題点をまとめた。
本授業「法と政治の世界」と並行して、「多彩な学び」の科目である「政治と社会」も担当しており、同じようなレポート課題を提示していた。添削指導がない「政治と社会」の場合、レポートというより、単なる思いつきを連ねたようなコメントの文章を最後まで提出してくる学生が見受けられた。だが、「法と政治の世界」ではレポート添削により、「求められている文章はこれではない」とはっきり示され、何が出来ていないか指摘されてレポートが返却されるため、学生の方も小レポートらしく仕上げようと工夫するようになる。また、「法と政治の世界」のレポートは、対象が2年次以上の「政治と社会」のレポートに比べると、取り上げる題材の豊かさや切り口の鋭さの点では見劣りするが、明らかにレポートらしく仕上がっている。内容は不十分であっても、レポートの型や体裁というものを意識して、自分の文章を仕上げる姿勢が身につくことは、一年次の学生にとって大切なことではないだろうか。最終回で実施したアンケートでも、「今までレポートを書いたことがなかったので、添削指導はとても助かる」という回答が何件かあった。
今回「法と政治の世界」は80名の履修者であったが、 提出されるレポート数は、毎回25~35枚程度、40枚を超えた時も一度あった。この分量では、添削作業は一日かかり切りの作業量になり、場合によっては二日に亘る。担当の教育コーチには全部で14回添削していただいたが、この作業量に相当する手当を用意しない限り、引き受けて下さる方を見つけるのは簡単ではない。 また、現行では履修者数の多寡にかかわらず、1名の教育コーチしか配置できない。しかし、今年度80名の履修者が仮に来年度2倍に増えた場合、提出されてくるレポート数も比例して2倍になり、1名の教育コーチでは添削作業が完全に行き詰まる。履修者数の上限を例えば 80~100名にするか、あるいは、履修者数に応じて教育コーチを増員できるような態勢が整っていない限り、添削指導を今後も確実に実施していくことはかなり難しい。 小レポートの提出回数を制限するという方法があるが (現行は「最低4回提出、上限なし」だが、提出回数に上限を設ける等)、添削指導は何回か繰り返さないことには改善が見込めないため、制限するにしても限界がある。 さらに、今回の添削指導に協力頂いた教育コーチは、大学院に在籍中で外国人留学生への添削指導経験があり、また、賃金に見合わぬ仕事量であるにもかかわらず、添削を通じた学生との対話に価値を見出していた方であった。このような方に教育コーチを引き受けていただいたという幸運に支えられて成立していた今回のレポート指導である。しかし、仮に今回協力頂いた教育コーチが担当できなくなった場合、あるいは、履修者数に応じて教育コーチを増員できるようになったとしても、このような添削指導に携わる熱意があり、かつこの仕事をお任せできる人材を見つけることはすぐには難しい。教育コーチを活用して、もう一歩踏み込んだ授業計画を立案しようにも、教育コーチをお願いできる人材と手当が確保できないために、諦めざるを得ないという先生方もいらっしゃるのではないだろうか。その点で、TAなどの「授業補助」とは異なり、教育コーチは「教育指導」に携わる人材と位置づけ、学内外から事前に募集しておくということも考えられる。教育指導への意欲や関心があり、ある程度の論文執筆経験があるとなると、おそらく研究職・教育職を目指している博士後期課程の院生に限られてくるのではないか。そのような人材を事前に募集・登録しておき、随時、彼らに教育コーチ を依頼できる態勢を構築しておかないと、教育コーチの活用を前提とした授業計画というのは、立案が難しいように思う。
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映像作品を素材にしながら、政治学が扱ってきたテーマや政治思想について紹介していきます。政治学独自の視点や政治思想への理解を深めることで、社会と人間を見つめる眼を豊かにし、ひいては皆さん自身の手でこの社会を変えていく可能性を拡げたいと思っています。
この講義は政治を扱った映画を見るものではありません。映像を素材にしながら、政治学の主要テーマや基本概念、様々な政治思想について紹介するタイプの講義です。また、私たちの社会が抱える問題について理解を深め、この社会をどのような方向へ変えていったらよいのか、その道筋や方法についても考えたいと思っています。ですから、政治学と言っても、主たる内容は西欧政治思想史および現代政治理論が中心となります。小レポートの提出を通じて、政治学の概念を使いながら自分自身の考えをまとめ、他人が読んでも恥ずかしくない文章を書く練習も行います。