2022年6月16日(木)SPIRITのInternet Explorerサポート終了について
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「立教大学ヒューマン・ディグニティ宣言」コラボレーション企画 秋季人権週間プログラム講演会『しょうがいしゃ差別を〈語り〉なおす』を対面・YouTube Liveにて開催しました。講師に二松学舎大学文学部准教授の荒井 裕樹(あらい・ゆうき)氏をお招きし、しょうがいしゃ差別と「ことば」をテーマにお話をいただきました。
2022年度人権・ハラスメント対策センター主催の秋季公開講演会は、二松学舎大学の荒井裕樹先生を講師にお迎えして、対面・オンライン併用で開催されました。本センター主催の公開講演会を学外からの参加者も含めて対面で実施するのは、2019年12月以来になります。新型コロナウイルスの感染防止を徹底しつつ、講師の荒井先生をはじめ、参加者、関係各位のご尽力によって対面開催を実現できました。関係するすべての皆さまに深く感謝申し上げます。
荒井先生については、『朝日新聞』文化面で「荒井裕樹の生きていく言葉」を隔週連載されていて、ご存じの方も多いかもしれません。当日は、「しょうがいしゃ差別を〈語り〉なおす」をテーマに、①障害者差別を語る言葉(障害者差別の語り方)について考えなおす、②障害者差別に関する言葉から現代社会を考えるという2つの柱からお話いただきました。日本近現代文学、障害者文化論をご専門とする荒井先生は、ご自身が語られたように、「ことば」と社会の関係性を見つめてこられた研究者です。この講演に参加した私たちは、言葉が持つ力を改めて捉え直す、貴重な機会を得ることができました。
荒井先生はまず「簡単に判ったようにならないこと」の重要性を説かれます。講演全体が聴いている私たちに対して、何かを“教える”ではなく、一人ひとりが今、目の前にあるものをきちんと言葉でイメージして“考えよう”という姿勢に貫かれていました。柔らかい荒井先生の語り口に私自身どんどん引き込まれていきましたが,講演の中で一番印象に残ったのは、この半世紀、日本では障害者差別について語る言葉が増えていないというお話でした。続けて荒井先生は、差別について言い表す言葉が少ないのは、差別に対して感度の鈍い社会ではないのだろうか?と私たちに考える足掛かりを与えてくれます。言葉を通じて社会をみて、社会の中で言葉がどのように使われるのかを問い続けなければ出てこない視点ではないでしょうか。
このレポートを書いている私は、先に紹介した『朝日新聞』連載の中で、2022年10月5日(東京本社版)に掲載された「ざらつく心、研究者の欲」を読み(是非探して読んでみて下さい)、荒井先生の講演を心待ちにしていました。講演会に参加した方も、あるいは残念ながら参加できなかった方も、講演での荒井先生のお言葉をお借りすると、「読めば読むほどわからなくなることを目指した」ご著書を手に取って、大いに悩んでみませんか。
(経済学部 岡部 桂史 教授)