リラクゼーションをやってみよう 【その1】(学生相談所カウンセラー 原信夫)
授業がすべてオンラインになり、外出自粛もあって、学生の皆さんも家で過ごす時間が増えていることでしょう。家で少しでも心地よく過ごすため、様々なことを工夫して試みていると思います。何か新しいことを始めた人もいるかもしれません。ここで、もう一つ、新しい試みとして、リラクゼーションをやってみるのはどうでしょうか。
リラクゼーションとは、穏やかで落ち着いた心身の状態(リラックスした状態)のことを言いますが、ここでは、そうしたリラックスした状態を作り出すためのいくつかの方法のことを指して使っています。
これから何回かに分けて、簡単にできるリラクゼーションの説明をしていきます。気分転換にやってみるのもいいですし、練習を重ねて、いろんな場面でリラクゼーションが使えるようにするのもいいでしょう。
今回は初回なので、リラクゼーションをするとき環境についてお話しします。静かな場所ですることが望ましいので、テレビやYouTubeの音は消して、周囲の音が気にならないところで、椅子に座って行います。横になって行うやり方もありますが、座って行った方が応用が利くので最初は座って行う方法をお勧めします。丸椅子は避けて、背もたれのある椅子に、軽く背中をあずけるように座ってください。クッションに座るのでもかまいません。のんびりくつろぐときの姿勢、ふだん座り慣れている姿勢で、まずは座ってみましょう。
音がないと逆に落ち着かない人もいるでしょう。音楽をかけてもかまいませんが、穏やかな状態を作るのが目的なので、それに見合った静かな曲を選びましょう。
リラクゼーションをやってみよう 【その2】(学生相談所カウンセラー 原信夫)
リラクゼーションの3つのステップ
今回お伝えするリラクゼーションは、①体の力を抜く、②ゆったりと呼吸する、③他のことを考えずにボーっとする、の3つのステップから成っています。順を追ってひとずつ行い、最後には3つのステップを同時にできるようにします。今回は①体の力を抜く、を説明します。
体の力を抜く
①体の力を抜くは、リラクゼーションで最も大切なカギとなる要素です。人は緊張したり不安になったりすると、体のどこかに必ず力が入っています。普通にしているときでも体に力が入っていて、力が抜けるのは、ひどく酔っぱらっているか、寝ているときだけ、という人もいるぐらいです。ここで言う体の力とは、主に筋緊張のことです。これを意識して抜いていきます。
本当に体から全部の力を抜いてしまうと立てなくなってしまうので、リラクゼーションのためには、体の中で力が入りやすい、緊張しやすい部分の力を抜くだけで、まずは十分です。最初に練習するのは、手と、首や肩です。
手の力を抜く
椅子に腰かけた状態で、両手の手首を少し(一、二、三とゆっくり三つ数えるぐらいの間)、ぶらぶらさせてから、腿の上に静かに下ろしてください。しばらく手を動かさずにいます。両手に、じわーっと、手の周りを覆うような感覚が感じられましたか?この、じわーっという感じはしばらくすると消えていきます。じわーっという感じが消えていくのに合わせて、「力が抜けていく」というイメージをします。実際に、手の緊張がじわーっという感じとともに抜けていくのを味わってください。
手をぶらぶらさせてから止めたときに感じる、じわーっという感覚は、他のやり方でも感じることができます。よく行われているのは、手を軽く握って、力を入れてから離すというやり方です。両手をぎゅっと握って、ぱっと離す。離したときに、両手からじわーっと力が抜けていく感覚が感じられるでしょう。握ったときに入れていた力が、実際に抜けるのです。何度かくり返して、手から力が抜ける感覚を確かめてください。
首と肩の力を抜く
これを試すと、首と肩に力が入っていることに気づく人がいます。力が入っていると気づいたら、しめたものです。首と肩は、気づかずに力が入っていることが多い部分だからです。首と肩はぶらぶらと動せないので、首をゆっくり回したり、肩もゆっくり回したりしてから(これがぶらぶらの代わりです)、いったん動かすのを止めて、首と肩からじわーっと力が抜けていくのを感じます。
力を抜く:さする、とんとん叩くやり方
首や肩は、動かした後に、じわーっという感じ、力を抜く感じを体感するのが難しいかもしれません。そういうとき、じわーっという感じを得るには、さする、軽くとんとんと叩くという方法もあります。力を抜きたいところ、例えば手であったら、手のひらや手の甲を、もう片方の手でさすります(手をこすって洗うように。ただし、力を入れ過ぎてこすってはいけません)、あるいは、軽くとんとんと叩きます(ぺちぺち叩く、ぐらいの軽い感じで)。手を腿の上に下ろして静かに手に注意を向けると、さすったところ、とんとん叩いたところから、じわーっとする感じが感じられます。首や肩なら、その部分をさすり、とんとんと叩いてから、静かにその部分に注意を向けて、そこからじわーっと力が抜けていくのを感じましょう。