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全学共通カリキュラム持続可能な地域社会を考える担当:上田 信 教授
日本創成会議が鳴らした警鐘は、個々の地方自治体ごとに2040年の人口減少の推計値を明記したことで、日本全体を揺るがせた。人口半減を宣言された市町村だけではなく、政府も地方創成に動き、研究機関・NPO・大学も一斉に受容課題として取り上げるに至っている。本学でもESD研究所が、地域創生拠点形成のプロジェクトを進めている。本科目はこうした動向を受けて開講された。地域社会の問題は、世代をまたがる課題であるところから、立教大学セカンドステージ大学(RSSC)を提案部局としている。履修者は247名、そのうちRSSC受講者は47名、学部学生の多くが1年生であった。 授業はアメリカ環境文学を研究している野田研一氏と私とが主催し、現場での経験豊かな方々をゲストスピーカーとして迎えて進めた。扱われた話題である「観光」の原義は「国の光を観る」(出典『易経』)ことであり、それぞれの土地で輝いているものを発見することという深淵な問題提起から、ないものを挙げるのではない「あるもの探し」、葉っぱビジネス(お年寄りが山野で集めた料理のツマとなる葉や花を、ITを活用して企業化した上勝町の事例)、地産地消から「地消地産」(地域の持つ需要を掘り起こして生産すること)へ、といった具体例まで、多岐にわたった。定点観察のフィールドとして、静岡県西伊豆町を取り上げ、役場職員・コンサルタント・学生ボランティアのそれぞれの角度から、地域創生の可能性について語ってもらったことも、1つの特色となった。 学生の目の輝きが変わったのは、国際ボランティア学生協会 IVUSAの職員から、学生が主体的に取り組んでいる地域創生活動の紹介があった授業からである。これまで授業とは受け身で聴くものだという姿勢から、自分自身もやろうと思えばやれるのだ、という意識を持つようになったのである。1月19日に行った最終回は、座学を拒否して14号館地下のフロア教室に場を移し、200名を超える人数でのワークショップに挑戦した。20ほどのグループに分かれ、授業を振り返った後、各自が地域創生に対して「やりたいこと」「やれること」「やらなければならないこと」を語り合ってもらった。それぞれのグループには、RSSCの受講生も含まれており、世代間の議論となったところも少なくなかったようである。
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少子高齢化が進む日本では、地域の存続が危ぶまれている。このような危機をどのようにして乗り越え、持続可能な 地域社会を構想することが出来るのか、多角的な視点、世代を越えた対話のなかから見いだしていく。
日本の豊かな自然や文化は、地域のなかで育まれてきた。地域社会が消えることは、こうした宝が失われることである。本授業では先進的な事例を、多彩なゲスト・スピーカーを交えて学ぶとともに、いままさに動き始めた地域と連携を図りながらフィールドワークやグループ討論などを踏まえながら考えていきたい。履修者それぞれの今後の生き方をも、深く問うことになろう。