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全学共通カリキュラムフランス語スタンダード2担当:小倉 和子 教授
フランス語教育研究室では、1年次の必修を終えたばかりの学生を対象とした「フランス語中級1・2」と「フランス語スタンダード1~4」を運営している。「中級」はネイティヴと日本人の教員が1回ずつ担当し、週2回開講している。また、研究室が中心になって開発した教科書『フランスの今』を使用しながら4技能がバランスよく身につくような設計となっている。一方、「スタンダード」のほうは週1回の開講で、1(春)と3 (秋)はネイティヴ教員、2(春)と4(秋)は日本人教員が担当し、1~4全てを履修すると、「中級」を履修したのと同等の能力が身につくようになっている。ただし、「中級」と「スタンダード」で使用する教科書は異なるので、春学期に両科目を同時履修して秋からの留学に備える学生も少なくない。以下、筆者が今年度春学期に担当した「スタンダード2」を中心に紹介したい。
この授業では、1年次に学んだ文法・語彙・表現などを復習しながら、十分な時間が割けなかった長文読解の訓練をすることと、仏検の受験対策に取り組むことが2本の柱になっている。文法の復習と長文読解については『フランス語圏の社会と文化』が指定教科書として使用されている。フランス語教育はフランス(それもパリ)の方を向きがちだ、という批判をしばしば耳にするが、この教科書はヨーロッパ、北米、カリブ海、アフリカ、アジア、 オセアニアなどに広がるフランス語圏の社会(歴史を含む)や文化に目を向けている興味深い教材である。言葉を学ぶだけでなく、コンテンツとしても、学生たちが中級~上級と継続学習していくなかで、フランス語を使って何をしようとしているのか、したいのかを自らに問うきっかけになる。各課丸々1ページの長文を読解して授業に臨むのは1年次の必修を終えたばかりの学習者にとって決して簡単な作業ではないが、受講者たちはよく準備してきてくれていた。仏検対策の方は毎回4~3級の過去問を解きながら、解説し、関連する語彙や表現を学習した。
授業を担当して感じたことは、2年次になってもフランス語の発音に自信のない学生が少なくないということである。フランス語は綴りと発音の関係が規則的で、例外は少ないが、残念ながらローマ字式に発音しても通じない。通常、教科書にはCDがついていて、最近ではスマートフォンに音源をダウンロードできるものも増えているが、聴覚より視覚に頼ってしまう学習者が多い。言葉はやはり最初は音であり、リズムであるという原点に立ち戻りたいものである。したがって授業では、長文の意味を理解するだけでなく、(ネイティヴ並みでなくてもよいから)「正しく」発音できるようになることも心がけた。
今後の課題としては、学部も学年も異なる学生たちが集まったクラスで、互いの学びを助け合えるようになることが挙げられる。担当教員と一人一人の学生とのやりとりが多くなりがちな授業だが、学生同士が協働できれば継続学習に不可欠な自律性の獲得にもつながるのではないだろうか。
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1年次に学習した初級文法を定着させるとともに,仏検4~3級受験対策と,フランス語圏の歴史や文化に関するテキストの読解訓練を行う。