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2022年6月16日(木)SPIRITのInternet Explorerサポート終了について

2022年6月16日にMicrosoft社によるInternet Explorerのサポートが終了しました。
それに伴い、SPIRITにおけるInternet Explorerのサポートも終了します。
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授業探訪(全カリニュースレターNo.51より)

全学共通カリキュラム
SDGs×AI×経済×法
担当:河村 賢治 教授

 2021年度春学期に「SDGs×AI×経済×法」という総合系科目を開講しました。学部学生2 0 0名、立教セカンドステージ大学(以下、RSSC)受講生2 0名の授業です。最終回の授業では、4 名の学部学生から現在取り組んでいることを報告してもらい、RSSC受講生を交えたグループワークをZoomのブレイクアウトルームで実施しました。報告をしてくれた学部学生(テーマ)は、①コミュニティ福祉学部Kさん(持続可能な社会を実際に取り組む:消滅可能性都市:埼玉県小川町)、②社会学部Nさん(AIとある立教大学生のおはなし)、③経済学部Fさん(欧州グリーンディール)、④異文化コミュニケーション学部Yさん(グリーンマーケティング)です。最終回の授業に参加したある学生からの感想を紹介します。

ある学生からの感想
 同じコミュニティ福祉学部の学生が私自身も関心のあるまちづくりについて研究をしている姿を見て非常に良い刺激となりました。Kさんの発表のなかで外部組織とまちの住民との間で食い違いが起きていることが触れられていましたが、私はこの解決に「まちづくりラウンドテーブル」という取り組みを参考にすることが良いのではないかと考えます。「まちづくりラウンドテーブル」においては、住民の意見を出し合ってもらい、その妥当性を専門家たちで検証し、まちづくりが進められていきます。つまり、住民の意見を主として、専門家たちで補助する方が、「住み続けられるまちづくり」や「つくる責任、使う責任」に対してより良いかたちでアプローチできるのではないかと考えます。
 Nさんの「知ることでなんとなく怖いがなくなる」というご意見は非常に示唆的であると感じました。様々な偏見の根本には人々の無知が潜んでいると考えます。一方で、世の中には「知る」という機会が何らかの原因で奪われている方々もいます。それは貧困であったり、学習障害であったり、DV等の要因で情報に触れる機会がなかったりと非常に複雑な背景があると思われますが、そういった人たちにどうやって知識を、あるいは人の思いを伝えていくかどうかが問われていると考えます。
 また、Fさんのお話ししてくださった「公正な移行」についてもSDGsの目標達成に当たって深く検討していかなければならないと感じました。特に、デジタル化が進むことでついて行けなくなる人々、社会の在り方が変わる中で仕事を失う人々をどうカバーするか、あるいはそもそも生み出さないようにするかが重要であると考えます。これについて十分な検討がなされずSDGsという「名」ばかりが推進されていくのならば、それはSDGsの推進によって「排除されない立場」の人による自己満足に終わりかねないと考えます。ただし高齢者などを「テクノロジー」についていけないと最初から見なすのも新たな排除の原因となると考えます。コロナ禍において人と会うことが制限されるなか、Zoomなどをうまく使ってサークル活動を継続しているような高齢者の方も珍しくありません。人は、新しいものに対しある程度順応していく力を秘めていると考えます。SDGsのような取り組みも、いつか社会の当たり前となっていく可能性も秘めていると考えます。
 また、ブレイクアウトのなかで非常に興味深いご意見がありました。RSSCの世代の方は、かつてから皆さんなりに環境問題に対してそれなりに考え、行動を起こしてきたそうです。しかし、現状では彼らが何もしてこなかったように扱われていることを嘆いていました。何もしてこなかったのだと見なし、かつて第一線で様々な問題に関わっていた人を切り捨てるのではなく、共に、かつては何が足りなかったのか、今の若い世代が生み出した技術やモノを上の世代ならどう生かせるかについて検討していく、多世代協働が積極的に行われていくことが重要だと感じました。その点、今の社会に求められているのは、人とのつながりを再び盛んにし、多世代間で忌憚のない意見をぶつけ合える雰囲気を創り出していくことだと考えます。違う世代からのご意見を聞くことができ、非常に勉強になりました。また、SDGsが流行することにより、「SDGsと口にしていればそれでOK」という風潮が生まれることを危惧している方もいらっしゃいました。Yさんの「グリーンウォッシング」とも関連するとも思いますが、まさにSDGsの形骸化については危険視をしなければいけないと考えます。
いかがでしょうか。私はこの感想を読んでとても嬉しくなりました。本学には素晴らしい学生がいることをあらためて実感できたからです。この学生以外にも、「私もこういう取り組みをしています」、「私はこの点についてゼミで学びを深めています」、「グループワークを通じてこういうことを考えました」などの声が数多く寄せられ、私自身、様々な気づきを得ることができました。世代を超えて共に学ぶ「異世代共学」の重要性・可能性を再認識することができたのも、その一つです。
 ここであらためて「SDGs×AI×経済×法」の概要を説明しておきたいと思います。この授業は、SDGsについて、「①ファクトを踏まえて現状を理解し、②ゴールを達成するためにどのような取り組みがなされているのかを学び、③自分に何ができるのかを考え、行動する力を育むこと」を目標としており、とりわけSDGsと技術・経済・法の関係を学問横断的に学べるよう授業計画を組みました。幸いなことに、持続可能な開発のための教育(ESD)の第1 人者である阿部治先生(本学名誉教授)のサポートを受けることができ、様々な領域で活躍されているゲスト・スピーカーの先生方を14名もお招きすることができました(詳細はシラバスをご覧ください)。ゲスト・スピーカーの先生方には、学生の知的好奇心を揺さぶるような魅力的な話をしていただいただけでなく、チャット等を通じた質問や意見にも授業中さらには授業後も含めて非常に熱心に答えていただきました。ゲスト・スピーカーの先生方のお話は、私にとっても参考になることが多く、この授業は私にとっても学びの場となっていました。授業に参加してくださった先生方に心より御礼申し上げます。なお、この授業ではチャット等で多くの質問や意見が寄せられましたが、これは、RSSC受講生が積極的に質問等をされたので、学部生も質問等をしやすい環境が形成されたためではないかと思っています。また、RSSC受講生を人数制限なく総合系科目で受け入れるために、この授業はRSSCから全カリに提供するという位置付けになっています。次年度も「SDGs×AI×経済×法」を開講する予定ですが、さらに良い授業となるよう努力を続ける所存です。
 最後になりますが、この授業を運営するにあたっては全カリ事務室の皆さんにご尽力いただきました。本授業に関わっていただいたすべての方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

全カリニュースレターNo.51はこちら

授業概要(2021年度シラバスより)

授業の目標

国連が定めた持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)について、①ファクトを踏まえて現状を理解し、②ゴールを達成するためにどのような取り組みがなされているのかを学び、③自分に何ができるのかを考え、行動する力を育むことを授業の目標とします。

授業の内容

本授業のテーマに関し、それぞれの分野で活躍されている方をゲストスピーカーとしてお招きし、最先端の話をしていただきます。SDGsに関心がある学生はもちろんのこと、SDGsと技術・経済社会・法制度などとの関係を学問横断的に学びたい学生や、実務での取り組みを知りたい学生、将来の進路選択の参考にしたい学生などにとって、有意義な内容となるように授業を構成しています。
なお、本授業は、SDGs推進の人づくりとして知られているESD(持続可能な開発のための教育)の第一人者である阿部治先生のサポートを受けています。