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2022年6月16日(木)SPIRITのInternet Explorerサポート終了について

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●インタビュー概要

ICPSRは、政治や社会を中心とした社会調査のデータを世界各国の研究組織や研究者グループから収集・保存し、二次分析のために提供している世界最大級のデータアーカイブのコンソーシアムであり、立教大学も加盟している。ICPSRは、個票データの提供だけでなく、統計手法や量的研究に関する夏期セミナー(サマープログラム)を毎年米国のICPSR本部(ミシガン大学内)で開催しており、世界中から多くの大学院生や研究者が参加しているという。今回社会情報教育研究センターでは、立教大学から7年ぶりの参加者となった森西美光さんにお話を伺った。

森西美光さん
(経営学研究科 博士前期課程 2019年ICPSRサマープログラム参加者) 

●インタビュー目次

  1. サマープログラムに備えて
  2. サマープログラム参加中
  3. サマープログラム以外の生活
  4. サマープログラムを終えて

1.サマープログラムに備えて

いつサマープログラムを知って、どれくらい前に行くと決めましたか?
ICPSRサマープログラムのことは、大学3年生の春に担当教授である山口和範先生に大学院進学の相談をさせていただいた際に知りました。そして大学院進学を決意したときに、大学院時代はICPSRサマープログラムに参加することも1つの目標として、4年次から準備をはじめました。
受講料と渡航費について、どのくらいの金額でどのように工面しましたか。
約2ヶ月の滞在だったので授業料・渡米費・生活費全て含めて約100万円の費用がかかりました。ただ給付型の奨学金である「トビタテ!留学JAPAN」*に申込み採用されたのでそこから留学費を工面しました。
*補足:「トビタテ留学ジャパン」とは、留学や海外での活動に対して助成金が出るプログラムです。詳しくはこちらを御覧ください。https://tobitate.mext.go.jp/
事前準備で何をしましたか?
事前に英語で行われる統計の授業を履修する、英語の論文を習慣的に読むなどを一年前から行なっていました。
何をしておけばよかったと思いますか。
会話の練習はあまりしなかったので、事前にしっかりと用意してやっておけばよかったと振り返って思いました。

2.サマープログラム参加中

サマープログラムの概要について教えてください。
以下のようになります。
  • 開催場所:アメリカ合衆国ミシガン州アナーバミシガン大学
  • 開催期間:2019年6月24日~2019年8月16日
  • セッション1(2019年6月24日~2019年7月19日)
  • セッション2(2019年7月22日~2019年8月16日)
補足:1、2どちらかのセッションのみに参加することも可能なようです。
プログラムの全体の流れや時間構成、どのような進行で進んでいましたか?
全体の開催期間としては6月の中旬から8月の初旬まであるのですが、それが4週間ずつのセッション2つに分かれていて、それぞれのセッションで開講される授業を履修する形になっています。月~金曜日の5日間開講される授業が多く、それが4週間続くので1つのトピックを深く学ぶことができます。
1セッションは学期に被っていますが、大学の授業とどのように兼ね合いましたか?
参加したのは修士の2年でしたが、修士の1年のうちに授業を取り終えていたので、問題ありませんでした。日本からの参加者のうち、セッション2から参加する人もいましたし、片方のセッションだけに参加することも可能です。
課題の内容や形式、演習形式、予習や復習、用いたデータやソフトについて教えてください。
授業によりますが、用意された課題を解く課題とプロジェクト型の課題があります。用意された課題はA4 1枚に問題が書かれていて、それを実際に自分で分析して解く。プロジェクト型は、例えばセッション1にとった「Multilevel Models」という授業では、自身でテーマや仮説を設定し、データを用意して、実際にマルチレベル分析を行い考察までするという課題が出題されました。週に1回、プロジェクトの一部を提出してフィードバックをもらい、最終週に最終的なレポートを提出するという課題でした。全体的に、授業で理論を習い課題で実践し身につけるという形です。課題の量も授業次第です。また課題形式も授業次第ですが、基本課題を課題に使ったコードものせてプリントアウトした課題を提出することが多かったです。
演習形式は基本パワポで、履修した授業の講義が多いです。授業内で使う資料は全てdropboxなどで共有してくれました。講義は理論や事例の紹介が多い印象です。
予習や復習などはありましたか?
履修した講義のシラバスに授業でやることや参考文献があらかじめ記載されていることに加え、どの講義も最初に参考にする論文などをdropboxで共有してくれます。なので、基本、授業スライドと共有してもらった論文を読むことが復習と予習になります。ただ課題も多いのでそこはバランスが大切だと思います。予習や復習の時間を考えると、1セッションあたりにとれる授業は2つが限界だと思います。
サマープログラムでは、どんなデータやソフトを使いましたか?
データは主に課題用に使います。自分でICPSRのデータバンクから見つけるのとデータを用意していて共有してくれるパターンがあります。ソフトは基本stataとRです。ICPSRサマープログラムではこの2つのソフトを推奨していてこの2つのどちらかは最低限扱えることは必須だと思います。課題もstataかRを使えることが前提で出されます。
事前に身に着けておくべき前提知識を教えてください。
ICPSRサマープログラムでは色々なレベルの統計手法の授業が展開されているので、最低限の英語力と統計について最低限の統計がわかっていた方がいいと思います。ただそれでは得られることが少ないので、目的意識を持って「こういう統計手法を身につけたい」などがあると得られるものが大きくなると思います。またRは最低限扱える必要があると思います。
講義のスケジュールについて教えてください。
講義は時間指定で履修した授業は決められた時間の毎日月曜〜金曜が4週続きます。例えば朝9時から11時の授業なら毎週月曜〜金曜が1セッション(四週間)あります。上記のように授業は基本的に1つ2時間です。
講義の難易度について教えてください。
ICPSRサマープログラムでは様々な統計手法が展開されており、そのレベルはまちまちです。自分のレベルにあった授業を取ることをお勧めします。
どのように授業を選ぶのか教えてください。
基本的に自身の研究で使うもの、または今後役立つと思う統計手法の授業を取るのがいいと思います。授業内容はICPSR summer programのサイトのcourseというところに書いてあり、二週間前になったら授業内容を詳しく書いたシラバスが公開されるのでそれを読んで自分の研究に役立ちかつ授業内容が理解できると思った授業を選ぶのがいいと思います。シラバスや参考文献を少し読んで完全に理解できない場合は他の授業を選んだほうがいいかもしれません。
TAやオフィスアワーなど、授業の補助はありましたか?
TA・オフィスアワーはワークショップ型の授業であればどの授業も存在します。TAは基本博士課程の学生の方でどの方も非常にフレンドリーでした。またオフィスアワーは先生・TAどちらも決まった曜日・時間に2時間程度開かれています。オフィスアワーには、積極的に行くことをお勧めします。丁寧にわからないことを教えてくれます。
英語でセミナーを受けてどうでしたか。
最初は英語の授業に戸惑いましたが、もともと学んでいた統計学や万国共通の数式のおかげでどうにか理解することができました。例えば、理学部の線形代数や微積分の授業や、全カリのオンデマンド科目(「Introduction to Statistics」)などです。
他の参加者はどのような人がいましたか?
参加者はほとんど大学院生(修士、博士両方)で、特にアメリカの大学院生が多かったです。政治科学や社会学の学生が多かった印象です。ただ自分のようにアジアからきている方も少なからずいました。また中国人の学生の方も多かったです。

3.サマープログラム以外の生活

宿泊場所や食事について教えてください。
宿泊場所は、ミシガン大学の学生が夏期休暇の間は寮にいないので、大学から近い寮を借りました。これはICPSRサマープログラムのサイトの中にある宿泊施設について説明しているページから、ミシガン大学公認の周辺の宿泊施設を貸すサイトにジャンプして、そこから個人にメールして借りました。宿泊施設を決めるのが一番大変でした。
日常生活では、スーパーがどこにあるのかなどはICPSR国内利用協議会の事前オリエンテーションで情報を得ていたのですが、それが非常に参考になりました。わたしは基本自炊で、週に一回uberで一週間分の食材をスーパーに行って、買い出しをしていました。また他に必要なものは現地でAmazonに登録して購入していました。
他の参加者と仲良くなる機会はありましたか?
たくさんありました。具体的には、ICPSRサマープログラムでは授業前に参加者と話せるレセプションやセッションごとに1週目と3週目にICPSRサマープログラムの運営主催のピクニックがあり、参加者と話せます。また授業の際も、話しかけることができればいくらでも仲良くなれると思います。講義以外では、現地の友達や日本からきた学生と交流を深めました。野球観戦などもしました。
また渡航前に日本の参加者だけを集めた交流会があり、事前に知り合うことができます。

4.サマープログラムを終えて

サマープログラム全体を通じて感じたことを教えてください。
全体を通じてミシガン大学という勉強に集中できるところで、様々な国の人と交流しながら統計学を深く学べたことはかけがえのない時間となりました。
参加する人がわきまえておくべきこと、留意しておくべきことを教えてください。
ICPSRサマープログラムは統計を学ぶために行くのであって決して語学留学ではないということですね。ただ「アメリカに行きたい」、「英語を学びたい」といった目的で行くのはふさわしくないかもしれません。
サマープログラムで得られたこと、今後にどのように生かしていきたいか教えてください。
わたしは将来のキャリアとしてビジネスの世界でビッグデータなどを扱うデータサイエンティストとして働きたいと考えております。今回のサマープログラムで学んだことをベースにより深くデータサイエンスについて学び続け広く世の中に貢献したいと考えております。
今後のICPSRサマープログラム参加希望者へのメッセージをお願いします。
ICPSRサマープログラムは統計を学ぶ非常にいい機会だと思います。費用や時期などハードルはやや高いかもしれませんが、得られるものは大きいと思います。ぜひ挑戦して欲しいです。
 

●社会情報教育研究センター事務局より

社会情報教育研究センターでは、ICPSRサマープログラムの情報だけでなく、データアーカイブとしてのICPSR利用案内など、統計を学習したい学生への支援を行っています。お気軽にご相談ください。

●インタビュー記事